長期反復性のトラウマ経験によって生じる(複雑性)PTSDの症状
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解離(意識の障害)
嫌な出来事が起こるとあくびが出て、意識が朦朧としはじめ、ひどいと急激な眠気に襲われる。
目つきが変わる
人格が変わる
※空想世界の中に現実逃避している状態
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記憶障害
フラッシュバック
恐怖・苦痛体験を突然無意識かつ感覚や感情ごと鮮明に思い出す…侵入的思考という。
ときにフラッシュバックによってパニック状態に陥り、錯乱したり、コントロール不能な病的な思考や行動を伴ったりする。悪夢
フラッシュバック同様、悪夢も侵入的思考のひとつと考えられる。 -
意識の覚醒水準のコントロールがうまくいかない。
覚醒水準が低下すると…注意力や意欲が低下する。
モチベーションの持続が難しく、行動や思考の継続が困難になる。
活動に支障をきたすほどの抑うつ傾向に陥る。
自閉症スペクトラム(ASD)と似たような症状になる。覚醒水準が上昇すると…感覚が過敏になり、過剰に活発で行動的になる。
警戒心が強く、衝動的かつ好戦的。少しの刺激で興奮しやすく激昂したり暴れたりしやすい。
不眠や過覚醒などの睡眠障害になりやすい。
ADHD(発達障害)と似たような症状になる。 -
認知の変化・歪みが生じる
誰も信じられなくなる、ネガティブ思考、社会や人間関係と適応できない、自己肯定感の欠落など。
認知の歪みが定着してしまうと、強迫性障害、境界性障害など様々なパーソナリティー障害に陥る。 -
他害(他者への攻撃)、自傷
虐待の被害を受けた被虐待者は、人間関係において自分が受けていたような暴力や暴言などをそのまま他者にも行ってしまう可能性がある。
攻撃性が他者へと向かず、自傷行為や自殺念慮をもつ場合もある。
いずれも自己肯定感の低さから自己否定を行い、そうするしかない、そうしないともっと辛いというような自動思考が働いてしまう。 -
アルコール・ギャンブルその他種々の依存症に陥りやすい
なにか依存しやすいものに傾倒することで、現実の苦しみや生きづらさから逃避し、しだいにのめり込み、依存対象がないともっと辛くなったり、精神の安定しなくなる。
複雑性PTSDが脳神経や脳内ホルモンに与える影響
複雑性PTSDは、上記のような主症状のほかに、脳神経や脳内ホルモンにも影響を与える。
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自律神経のアンバランス
交感神経は「闘争」の神経。イライラしやすく興奮、覚醒状態になるので、過剰に優位になると不眠に陥る。過覚醒になると集中力も低下する。
副交感神経は「リラックス、休養」の神経。過剰に優位になると、気力低下・無気力になりうつ状態に陥る。
慢性的に自律神経のバランスを崩してしまうので、気分が変調しやすくなる。 -
コルチゾールの機能障害
コルチゾール過多になると、ストレス反応が持続し海馬が萎縮する。
一方で、コルチゾール不足になると、注意力が低下する。
長期的なストレス反応が続くことにより、コルチゾールが急激に増加したり低下したりといったコルチゾールによる生理機能の障害が生じる。 -
セロトニン低下
セロトニンは幸福感や安心を感じる脳内神経物質。「幸せホルモン」と呼ばれる。
セロトニンが十分に分泌されているとストレス耐性が強くなる。一方セロトニンの分泌が不足していると、睡眠(入眠)障害が生じたり、こだわり(思い込み)が強くなったりする。 -
ドーパミンの機能低下
楽しく感じられることがなくなる。